蜂蜜生せんべい 田中屋

愛知県知多半島銘菓 半田のおみやげ 生せんべいといえば 田中屋


産業まつりで最初に販売された生せんべいの抹茶味は、それまでに何回も試作を重ね、とりあえず出しても恥ずかしくはないものにはなっていたものの、田中社長と川口さんにとっては完成品とは呼べないものでした。しかもその時に使用した抹茶は40g3,000円もする高級品。確かに色も味も良いものの、コストが高くついて、とても採算性が合うものではなかったのです。

「何より問題だったのは、『おいしいけれど、毎回味が違う』という評価。味が安定するまでに1年ぐらいはかかりましたね」

川口さんは当時をそう振り返り、続けてこう話します。

「総本家田中屋さんの生せんべいの黒も白も、添加物や着色料など一切使っていない本物の味。抹茶味も、もちろん西尾の抹茶100%の本物を提供することに意味があるわけです。さらに純一さんから言われたのは、挑戦するなら、抹茶味だけが引き立つのではなく、黒と白、そして抹茶と、この3つが相乗効果で美味しく味わえるものにしたいということ。つまりは、うちが提供する抹茶の“田中屋スペシャル”の出来次第で、生せんべいの伝統を引き立たせるものができるかどうかが決まる。開発途中では、こちらから提案したものの、『なんでこんな胃が痛くなる提案しちゃったんだろう』って思ったことも実はありましたよ(笑)」

ポイントは、「味」と「香り」と「渋み」の3つの要素が、生せんべいの生地にどれだけうまく調和して出るかということ。それを川口さんは、「ラーメンでいうところのダブルスープ、トリプルスープのようなもの」と表現します。3本の柱が立体的にうまく調合してあるものが、現在の「田中屋スペシャル」なのだと。

「色もなかなか難しかったね。私はもう少し濃い色がいいとか、鮮やかな色がいいとしか言わないから、川口さんは苦労したよね。胃が痛んでいるだろうという察しはついていたけれど、私も要求も曲げることはできなかったから(笑)」